掲載日:2021年11月7日

上司を自死に追い込んだスルガ銀行が心底憎い

私は、1971年生まれ、現在50才です。

大学を1995年3月に卒業し、現在は九州で広告代理店の営業職として働いています。

スルガ銀行から融資が付く優良物件と紹介され

2016年春頃、福岡市の不動産会社R社から投資用不動産の紹介をうけました。R社は私が担当になったばかりのお客様で、R社のI社長に挨拶したことが始まりでした。

2016年夏頃、R社のI社長から東京都内の新築区分2部屋(約5,000万円)の購入を勧められました。当時住宅ローンもなく借金とは縁の無い状態でもあったため、私には購入する意思はありませんでした。しかし社長自らが「優良物件だ」と熱烈にセールスしてくることもあり、また取引先への売上貢献にもなればと考えるようになり、最終的に購入することにしました。

一度購入するとその後も、大阪市の新築区分1部屋2,300万円、福岡市の中古区分1部屋を相次いで勧められ、立て続けに購入することになりました。

この時の借り入れは既に1億円を超えていましたが、「スルガ銀行なら融資通してもらえます」と年収の数倍にもなる購入資金の融資審査がR社の手によって次々と通過していきました。「本当にこんなに簡単に巨額の融資が認められるのか」と疑問にも思いましたが「もし危険性があるなら審査が通らないはずだ」とも思い、スルガ銀行と不動会社を信じ切ってしいました。

購入した物件は住まいからは遠方でもあるため現地視察には行けませんでしたが、「スルガ銀行から融資も付く物件、他の契約者も普通見学に行きません」という説明を完全に信じ切ってしまいました。

いずれも契約時は、スルガ銀行福岡支店の応接室で融資担当T氏、不動産会社、司法書士を交えた契約でした。また、区分1部屋につき、不動産会社からのキャッシュバックが50万円で計200万円ありましたが、そのお金はスルガ銀行へ定期預金をするように求められました。今になって考えれば、キャッシュバック分を高値で購入しただけで、そのお金をスルガ銀行から借り入れをしていたことになります。要するに銀行法で禁止されている歩積両建という取引になっていたのです。

積立定期と生命保険加入が条件

翌2017年夏頃にスルガ銀行名古屋支店からの紹介物件ということで、R社から大阪市の1棟マンションを2億4千万円で購入しました。当時、福岡に勤務していましたが、名古屋支店I氏が福岡のR社まで出向いての契約でした。スルガ銀行からの紹介物件であり、賃貸状況を示したレントロールは満室であり、更にR社が一括管理し、毎月定額の家賃保証を受けられるサブリース契約もあり、月々の収支はプラスになるという説明を受けました。

スルガ銀行で融資を組む上では300万円の定期預金のほか、毎月の収入からの積立定期、さらには生命保険への加入が条件でした。生命保険の加入や定期預金の作成を条件とした融資も銀行法では禁止されていることを後から知りました。

当時のことを不動産会社に聞くと、スルガ銀行への一晩数百万円の過剰な中洲接待やキックバック等、頻繁に行われていたそうです。

一方的なサブリース解除と明らかになる詐欺被害

区分、1棟マンションともに家賃保証のあるサブリース契約であったため、順調に賃貸経営をすることができておりました。しかし、2020年3月にR社から一方的にサブリース契約解除の連絡が入り、その後、家賃も2カ月分、合計約50万円が未入金となりました。その家賃は今日でも未入金のままとなっています。

問題はそれだけではありませんでした。R社のサブリース契約を解除され、物件のある現地の管理会社と直接やりとりをすることになったのですが、初めて自分が多くの嘘をつかれていたことに気が付きました。

1棟マンションのレントロールは改ざんされており実際の入居率は50%、区分における実際の家賃は説明よりも低く、当初見込んでいた家賃収入を得ることができないことが判ったのです。本来は重要事項として説明を受けるべき内容が説明されていないことや、事前の説明と食い違う事実が次々に明らかとなり、この時初めて「自分が詐欺にあった」と認識しました。現在は毎月マイナス70万円という酷い状況に陥っております。

優良物件は“殺人マンション”だった

現状を何とかしようと、1棟マンションの入居率を少しでも良くするために初めて現地に行き、突きつけられた現実に愕然となりました。

私が購入した物件は、棟内で入居者が毎年のように亡くなっており「開かずの間」が複数ある事故物件マンションだったのです。入居者同士のトラブルから刺し合い事件があったり、入居者の斡旋として生活保護者ビジネスで反社会的組織が絡んでいたり、想像もしていなかった事実が次々と明らかになりました。このマンションはスルガ銀行の紹介ということで、それを信用して購入した物件だったのにと、紹介したスルガ銀行とそれを売りつけた不動産業者をとても恨みました。

現地に行くまでは大学も近いことから、学生が入居できると思っていたのですが、インターネットサイトに「殺人マンション」と掲載されており、大学もこのマンションは斡旋できないとのことでした。反社会的組織が絡む物件を銀行が紹介することは、コンプライアンス上の問題に止まらず、マネーロンダリングなど反社会的組織への活動資金の供給につながるなど大きな問題になるのではないでしょうか。

上司を自死に追い込んだスルガ銀行

私には3人の子供がおります。自身が定年退職した後でも安心して子供たちに十分な教育を受けさせることができるようにと、始めた不動産経営でした。しかし現在は教育どころか家族の生活さえままならない状況となってしまっております。このままでは、自己破産をするか、もしくは自殺をして団体信用生命保険(団信)を使ってのローン返済の選択肢くらいしかこの債務から解放される方法が無い状況です。

私の上司も私と同様にスルガ銀行から1棟マンションを紹介され、スルガ銀行から高額の融資を受けておりました。このマンションも非常に管理状態が酷く、月々30万円のマイナスとなっていたそうです。去年、この上司は、経済的な負担を解消するために、マンション購入時に入会した団信で家族を助けるために、自死を選択してしまいました。

しかし、団信だけではローンを完済できず債務が相当残ってしまったはずです。まだ小さいお子さんもいて、ご家族は路頭に迷っていると思います。

私は上司が亡くなる直前まで、個人的に相談を受けておりました。何とかしてあげたかった、助けてあげられなかったことは悔やんでも悔やみきれません。

スルガ銀行の話を信じてしまった自分にも非があると思いますが、最も憎いのは、紹介したスルガ銀行とそれをそのまま売りつけた不動産会社です。

いまは不動産を始める前の生活に戻りたい、ただそれだけです。

<編集部コメント>

ご自身が大きな被害を受けている中、上司の自死を止められなかった後悔など非常に痛ましい内容であり、Tさんの苦しみや痛みが文面から伝わってきます。

被害者の中には、Tさんのように連続して物件を購入した人が多くいます。

このような酷い物件を不動産業者からの紹介ではなく、スルガ銀行から紹介されているのです。金融機関は直接不動産の売買が出来ませんので、不動産業者を物件の販売チャネルとして利用しています。

私たちスルガ銀行不正融資の被害者が「投資の失敗ではなく詐欺被害を受けた」とお伝えしているのは、嘘の情報を元に購入判断をしてしまった点、さらに不動産業者のみならず、スルガ銀行という社会的信用基盤の上に存在している金融機関がその嘘の中心にいたことが被害者を加速度的に増やした原因であると考えています。全国100社以上の不動産業者が同じ手口で被害者を嘘の情報で絡め取っているのです。スルガ銀行は自身も不動産業者に騙されたと主張していますが、金融機関が全国100社以上の不動産業者に騙されるなどあり得ません。これこそが当時「スルガスキーム」と呼ばれていた手法であり、どんな物件でも、どんな属性の人間でも億単位の融資が実行されていた実態です。

詐欺を行う不動産業者と組織的に被害者を生み出す仕組みを長年提供してきたスルガ銀行に社会的責任があるのではないでしょうか。「スルガスキーム」を構築した責任をいま問うことができなければ、第二、第三の被害者が生み出されてしまうのではないでしょうか。