つらい毎日と将来への不安
私は1972年生まれ、現在49才です。大学卒業後、金融機関で営業職として働いています。
私は2017年9月に鉄筋コンクリート造4階建マンションを1億600万円で購入する契約をし、その為にスルガ銀行から1億1400万円の融資を受けました。
高額な不動産融資なのにリスク説明は一切無し!
知人に不動産仲介業者E社を紹介されたことがきっかけでした。初めて接触があって以降、定期的にE社から物件の紹介があり、毎回、「Aさんならスルガ銀行ですぐに融資が可能です」「融資するのはスルガ銀行で契約時の頭金は不要です」と説明されました。物件紹介の際、E社の担当者O氏は常にスルガ銀行担当者と連絡を取っており、非常に親密な関係だったと記憶しております。
最初のうちは購入を見送っていましたが、ある時、「空室の賃料を2年間保証、加えて家賃比率が高い店舗部分については2年経過後も入居するまで賃料の80%を永久に保証する」との条件提示があり、その条件であれば不動産投資素人である私でも大丈夫かと思い、興味を持ちました。なぜそんな良い条件を提示可能なのかとO氏に聞いてみたところ、「スルガ銀行で評価が高いので売却も簡単にできるから」と回答されました。色々と考え悩みましたが、その条件であればと思い、最終的に購入を決めました。
融資契約は勤務先の近くにあるホテルの喫茶ルームで、仲介業者E社のO氏、スルガ銀行名古屋支店の行員I氏と3人で行いました。始めにO氏が簡単に物件概要(価格・レントロールなど)を説明し、土地売買契約書・重要事項説明書・家賃保証覚書に署名をしました。次に、スルガ行員I氏による金銭消費貸借契約(金消契約)手続きに移りました。1億1400万円と高額な融資契約なのに説明は極めて簡単なものであった上、投資用不動産のリスクについては一切言及することはありませんでした。ただ、「5年後に売却しても収益が出る優良物件である」と説明されました。その後行員I氏より「手続きに必要だから」と言われ、白紙の振込伝票、引出伝票へ氏名等の記載を要求されました。一連の手続きを終えると、同氏は次の予定があると言って先に帰ってしまいました。
空室急増、保証家賃の打切りなど話が違う!
購入物件からは毎月しっかりとした賃料が見込めるため、スルガ銀行へのローン返済を引いても毎月十分採算がとれるとの話でしたが、現実には全く話が違っておりました。購入から半年もすると立て続けに空室が増え、多くの原状回復費用が発生することとなりました。また家賃も滞りがちになり、更には購入後1年でE社からの保証家賃の入金が一方的に打ち切られ、結果、毎月10万円以上、多い月では25万円位の赤字に陥ってしまいました。
このまま赤字の物件を持ち続けることはできない、多少損しても売却をせねばと思い売却を検討しました。ところが売却査定価格は購入価格よりはるかに低く、売却しても数千万円の残債が残るため諦めざるを得ませんでした。「5年後に売却しても収益が出る優良物件」などとスルガ行員I氏が言っていたのは真っ赤なウソで、完全に高値づかみをさせられていました。
スルガ銀行の悪事が明るみに
これからどうすれば良いのかと不安に駆られていたところ、スルガ銀行のシェアハウス問題をニュース等で見かけるようになり、スルガ銀行が不動産業者と共謀して不正な融資を実行していたという事実を知りました。私の物件もスルガ銀行と業者の共謀だったのではないかと思い、試しに銀行口座資料を開示請求したところ、資料の改ざんが発覚しました。あろうことか、私の預金残高が6000万円も水増しされていたのです。
口座資料改ざんが発覚して以降、スルガ銀行に対して抗議と返済の相談をしました。私の件もシェアハウス事件と同様に口座資料の改ざんが行われていたこと、融資契約時の話と全く異なり収支状況が極めて厳しい状況となっていること、優良物件なので高額で売り抜けると言われていたがウソであったことを伝え、元本カットや金利の大幅引き下げなど相談をもちかけましたが、結果は散々でした。ほんの僅かだけ金利引き下げがあり、当時の窓口担当者より「今の入居率を維持できれば1年後に再度引き下げは可能」と伝えられ、それ以外は何の対応もして頂けませんでした。その後自助努力で何とか入居率を維持し、1年後に再度引き下げの交渉を行いましたが、当時の担当者は既に転勤。新たな担当者に今までの経緯を一から説明し、更なる金利引き下げを要求しましたが、全く取り合ってもらえませんでした。その担当者からは「引き下げ後1年での再引き下げは原則していない、最低でも1年半の期間が必要」と冷たくあしらわれました。言われた通りに1年半後に再度交渉しましたが、全く相手にされませんでした。こちらの窮状など全く考慮してくれず、不正な融資をしておいて後は知らんぷりという本当に酷い対応でした。
他にも開示された資料で判明した不正がありました。契約時に書かされた白紙引き出し伝票を使い、融資された資金を名義人である私への確認を行わず委任状も持っていない行員が勝手に引き出し、振込行為を行なっていたのです。この手続きは銀行として正当な事務オペレーションだったのかをスルガ銀行に対して文書で何度か問いただしましたが、回答は全て論点をずらしたもので全く答えになっていませんでした。以上のように、スルガ銀行の対応は何から何まで不誠実かつ杜撰なもので、顧客目線などというものは一切無いと断言できます。
悲しく、辛く、不安な日々
金利引き下げの為の条件を満たそうと、広告料の倍増や部屋の修繕・備品の整備、店舗に長期の家賃無料の期間を設定しました。また現地の不動産業者へも何度も訪問し、多くの資金を費やし必死で収支改善をしてきました。当然家族との時間は無く、妻とは約2年間まともな会話がありません。こんな状態では子供達も志望する大学に通わすことも難しく、最悪、離婚もありうるのではないかと思い、とてつもなく悲しく、辛く、不安です。
スルガ銀行は書面では真摯な対応をするとしていながら、実態調査の結果も開示せず、新たな不正が判明し問いただしてもなかなか回答も来ず、回答が来てもその内容は的外れな回答に終始し、まともな対話ができません。
家族関係を崩壊させ、家族と子供達の未来を奪ったスルガ銀行の悪事と、不誠実な対応には強い憤りを感じてやみません。不正の手口が全く同じであるシェアハウス問題と同様に、完全な解決策での被害者救済を求めて闘いたいと思います。そして私のような被害者が二度と生まれないことを願っています。
<編集部コメント>
スルガ銀行は不動産業者を使って顧客を釣り上げ、説明も不十分なままに高額の不正融資を実行。融資実行時には数々の不正を犯していたにも関わらず、シェアハウス事件発覚後も、顧客対応はのらりくらりと逃げ続け、全くもって誠意が感じられません。スルガ銀行には直ちに自分たちの過ちを素直に認め、被害者への真摯な対応と早急な解決を切に願います。