現在何が問題なのか
金融庁の業務改善命令を受けて、スルガ銀行は行員の再教育、シェアハウスに対する代物弁済の実施、アパート・マンションの融資被害者に対する個別対応を始めました。スルガ銀行と不動産業者により不当に高く評価されたアパート・マンション価格を当時の相場や収益力から適切に算定し、詐欺による被害相当額を補償する取り組みが期待されていました。
しかし実際は、高額の報酬を支払って組織した弁護団による理論武装を行い、不動産ADRや調停といった話し合いの場で、被害者の被害金額を一方的に算定し、折り合わない場合は裁判で争う姿勢を見せています。スルガ銀行も営利企業なので、自行の利益を守る姿勢を持つ必要があることは当然かもしれません。
ですが、話し合いの姿勢からはスルガ銀行が不正に関与したことに対する謝罪などは一切なく、「見合わない投資をおこなった結果、賃貸経営が困難になった方にして、お困りでしょうから支払い延期に応じます」といった一定期間の金利のみの支払いや元本を最後にリスケするいわゆるテールヘビーといった一時凌ぎの提案でした。反省や補償に対する取り組みではなく、個別交渉でさらに被害者から利益を奪い取るための提案だったのです。
被害者への謝罪と説明が必要
融資にかかわる粉飾されたレントロールや不当な投資判断資料の組織的な提示と、充分でない審査体制に対する反省や謝罪がまず必要なのではないでしょうか。
どのような企業でも起こしてしまった不祥事に対して、企業として真摯に向き合い一人一人への謝罪、具体的な被害内容の説明を行います。
しかし、スルガ銀行は被害者の協力を得て不正調査を行っておきながら、謝罪はおろか、調査結果の報告さえなされておりません。
金銭的な補償はデリケートな問題ですが、シェアハウスと同様の構造で起こった問題であるという自覚と反省は無いのでしょうか?
もし行員の再教育や組織的な不正を助長した体質が改善されたのであれば、救済の手を伸ばしたノジマなどの企業が撤退するのでしょうか。撤退を余儀なくされるほど改善できない理由があるのであれば、再度金融庁からの指導が必要なのではないでしょうか。
金融庁による公的な介入は必要不可欠
銀行という免許制の事業を行っているとは言え、スルガ銀行は、営利団体です。自行の損失は最小限に抑えたいという組織原理があることは想像に難くありません。その結果、徹底した反省と改善が阻害され、被害者との法廷闘争を辞さない姿勢があるとすれば、自行の非を認め、再起を図る自浄作用は期待できない可能性があります。シェアハウス問題では、被害者のなかから自殺を選ぶ人が出てしまいました。詐欺被害による自殺です。
アパート・マンションローンの被害者の中にも、自殺を考えている人は多数存在します。被害者の精神的苦痛は現在も継続しているのです。精神疾患により就業出来なくなった方、離婚や子供の学費の滞納など家族が崩壊してしまった方もいらっしゃいます。一日も早く被害者救済のため金融庁の介入ならびにスルガ銀行への指導が必要なのではないでしょうか。