スルガ銀行 不正の事実-028 形式的な取締役会

2018年9月7日に公表された、スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書によると、スルガ銀行の取締役会は実質的な審議機関、監査機関としてきちんと位置づけられ、認識されていなかったと指摘されています。

具体的な指摘事項として下記が挙げられております。

取締役会は会社法で社内の最高監督決定機関と位置づけられているにも関わらず、スルガ銀行では経営会議で審議されたものを形式的に承認可決される会となっていた。取締役会で議案が否決、修正、差戻しされることはなかった。

●議案書の多くは非常に簡素なもので、単年度営業目標では目標数値(部門別数値や商品別数値)が開示されない、コンプライアンス・プログラムの承認議案ではプログラム作成のための基礎的な情報が記載されていない、また内部監査計画の承認議案では各監査項目の使用工数しか書いていない、など。

中期経営計画は、取締役会規程に反して取締役会には付議されなかった。

●取締役会の所要時間は最初から1時間と極めて短時間に設定されている一方、議案数は7、8件あり、ほぼ議論することを不可能とする設定であった。

取締役会がその機能を果たしていなかったことにより、不正の事実-019でご紹介しているようなスルガ銀行経営陣による市場や現場目線を無視した戦略が、過度な営業ノルマを始めとする組織ぐるみの業績至上主義を生み出し、その為に多くの被害者が生まれることとなりました。

(参考サイト)スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書(224-225/338ページ)
https://www.surugabank.co.jp/surugabank/kojin/topics/pdf/20180907_3.pdf