スルガ銀行の不正融資により絶望の淵に追い込まれた

掲載日:2022年5月21日

私は1959年生まれ、現在62歳です。大学を卒業後、自動車関連メーカーなどで働き、定年退職し現在は自営業を営んでいます。
2017年4月に、大阪にあるマンション(鉄骨造11階建、築29年)を3億1000万円で購入する契約をし、購入資金としてスルガ銀行から2億7800万円の融資を受けました。しかしその一連の取引は、スルガ銀行と不動産業者が結託して私を罠に嵌めたのだと後に知ることとなりました。スルガ銀行はシェアハウス問題と全く同様のスキームで、私への不正融資を強行していたのでした。

通常では考えられないスピードでの融資契約・実行

物件購入のきっかけは、2017年4月上旬に、面識のあった大阪の不動産業者OA社のE氏から「スルガ銀行O支店の副支店長(Y氏)から中古一棟マンションの紹介があり、高収益が見込める物件ですが購入しませんか?」と話があったことに始まります。老後の資産形成を考えていた時期であり、具体的な話を聞いてみたところ、管理費や固定資産税を除いても一定の収益が見込まれると説明されました。それなら老後の蓄えになるだろうと思い、E氏に購入の意思を伝え、融資審査書類である預金通帳を提出しました。するとわずか数日で「スルガ銀行の審査が通った」との連絡があり、購入意思を伝えてからおよそ1週間後には売買契約を締結、2週間後には金銭消費貸借契約の締結・決済、所有権移転手続きと、通常では考えられないスピードで進んでいきました。当時は定年間近であり、年齢を考慮すると融資審査の通過は難しいのではないかと思っていましたが、地銀の優等生とまで評価されたスルガ銀行の判断であったので、間違いはないと信じていました。尚、不動産業者OA社より紹介された物件は、スルガ銀行から不動産業者OB社(代表O氏)を介してOA社へ紹介された物件だと聞いておりました。

購入前の説明とは全く異なり、購入後すぐに赤字へ・・

物件購入時は入居率は高かったのですが、直後より空室がどんどん増え、数ヶ月後には入居率7割程度と悲惨な状況となってしまいました。更に、私が物件購入後に退居された部屋の多くが、使用が乱雑であった為、退去後の原状回復費用が通常以上にかかってしまいました。家賃も入退去の度に周辺相場に合わせて減額せざるを得ず、ローン返済の為に毎月10万円以上もの手出しが必要となってしまいました。エレベーターも古いので交換した方が良いとの助言もされますが、そのような大規模修繕費用を捻出することは到底不可能です。更に、実際の積算価格を確認してみたところ、購入金額の凡そ5分の1程度しかない物件であることが判り、売却でローン返済をすることもできず、非常に苦しみもがいている状況です。

不正の事実

スルガ銀行の不正融資問題を知り、私も自分の取引に不正があったのではないかと思い調査をしました。結果、以下のような不正があったことが判りました。
・普通預金や定期預金の通帳の内容を改ざんするよう行員が不動産業者に指示
・融資審査時に、自己資金確認の為の通帳等の原本確認が行われていなかった
・満室時の家賃収入を相場より高く設定するよう、行員が不動産業者にレントロールの改ざんを指示
・物件概要書の売買価格を高く設定するよう、行員が不動産業者に改ざん指示
また「融資条件」としてフリーローンや定期預金等の契約を強要されました。
尚、書類の改ざん等については、スルガ銀行から不動産業者OA社へ具体的な改ざん指示が行われていたと同社より聞きました。OA社は違法性を認識しつつも、スルガ銀行からの高圧的な指示により、書類の改ざんを行わざるを得なかったと吐露しました。

スルガ銀行の元行員の関与

私の取引の実態を調査する中で、更に驚きの事実が判明しました。スルガ銀行O支店の副支店長Y氏から不動産業者OA社への物件紹介を仲介した不動産業者OB社のO氏はスルガ銀行の元行員であり、行員時代にY氏の上司であったことが明らかになりました。

スルガ銀行は、自行の元行員が経営する不動産会社を介して、融資物件を一般の不動産会社に紹介していたのです。さらにその紹介物件の購入希望者に対して、不正書類を用いて迅速に融資を実行することで、融資実績を積み上げていました。
前述の通り、私の件では非常に短期間で不動産売買契約から金銭消費貸借契約が行われました。OA社の担当者E氏からは「スルガ銀行から、4月末までに所有権を移転できないのであれば、今回の物件融資の話はなかったことになるから、とにかく急ぐように指示された」と説明を受けましたが、今となっては、不良物件を一刻も早く売りつけたかったというスルガ銀行の意図が垣間見えます。

自殺の覚悟、家族崩壊の危機・・・

物件を購入して以降、スルガ銀行へのローン返済に苦しみ続けています。購入前の説明とは全く異なり、赤字が続く物件運営です。会社員時代は毎月の給料から赤字分を補填し、退職後は、退職金や親から相続した家の売却金で、ローン返済の補填を続けていますが、これらのお金が枯渇してしまえば、自己破産する他に選択肢は無くなってしまいます。いっそのこと自殺をして、生命保険でローン返済することも真剣に考えました。ただそれで以てしても借金が残ってしまうと結局のところ家族に迷惑をかけてしまうなどと、胃に穴があくほどの悩みです。家族に事情を話しましたが、冷たい目を向けられてしまい、家族崩壊の危機に瀕しています。
私がここまで悲惨な境遇となったのも「マンション経営をすれば老後は安泰です。」とスルガ銀行の甘言に騙されてしまったからです。自己責任だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、スルガ銀行による多くの不正が明らかになった今、このまま泣き寝入りすることはできませんし、自ら命を絶つことなどできません。スルガ銀行の巨悪を糾弾しないことには、死んでも死にきれない思いです。このような不良物件を、複数の不動産業者を巧みに操って顧客に購入させ、巨額の不当な融資を無理やり負わせる、スルガ銀行の悪行を許すことはできません。スルガ銀行に対して、徹底的にその責任を徹底し、真摯な対応を求めていきたいと思います。そして私のような被害者がこれ以上生まれないことを強く願っています。

<編集部コメント>

老後の資産形成の為に、銀行の紹介案件という言葉を信頼して、一棟マンションを購入したIさん。ただその裏では、スルガ銀行の元行員が物件の仲介に関与し、現役行員が融資審査書類の改ざん指示をしていたことが明らかになりました。銀行の信用を悪用して、Iさんに不動産を購入させるように仕組まれていたのでした。こうした高値掴みさせられた不良物件が、Iさんの命や平穏な生活を脅かしています。一日も早い問題解決が望まれます。