私はスルガ銀行不正融資を絶対に許さない
-スルガ銀行はすべて知っていた-

掲載日:2022年9月19日

私は現在44歳の医師です。社会人を経験した後、夢であった医師になろうと勤務先を辞め、医学部に再入学しました。現在は地域医療に貢献しています。妻と子供2人の4人家族です。

スルガ銀行は年収の30倍までオーバーローンする

私が投資用不動産を購入したきっかけは、将来の子供の教育費を貯めようと考えたからでした。少し遠回りをして医師になったことから、何とか早期に子供の教育費を貯めることが出来ないかと思案し、不動産投資に興味を抱くようになり、2017年1月頃に不動産業者P社という医師専門に営業する不動産投資会社の存在を知りました。早速問い合わせをしたところ、担当者I氏から返信があり、スルガ銀行であれば年収の30倍は借りられ、オーバーローンも可能であると伝えられました。
スルガ銀行といえば、静岡県に磐石な基盤を有し、かつ全国でも営業成績を伸ばしていた金融機関で、そのスルガ銀行が融資を承認してくれる物件であれば問題なく物件運営ができるだろうと思い、1棟物マンションの購入を決意しました。

抱き合わせ販売、説明不十分な金銭消費貸借契約

2017年3月にマンション2棟を1.6億円で、さらに2017年12月に1億円でもう1棟のマンションを購入しました。スルガ銀行からは合計で2.6億円の融資を受けることになりました。

最初に購入した2棟について、不動産業者P社の担当者I氏と宅地建物取引士K氏の立ち会いのもと売買契約を行いました。その後、スルガ銀行東京支店首都圏営業部チーフマネージャー(H氏とI氏)が現れ、不動産業者P社の担当者I氏が同席のもと、融資申し込みと金銭消費貸借契約を行いました。その際に、行員H氏から500万円の無担保ローン、200万円の定期預金、積立定期預金、保険契約を迫られ、すべて融資の条件であると説明され、申し込みを拒否することができない状況でした。また投資用不動産のリスクに関する説明は一切ありませんでした。そして最後に行員H氏より、今後も追加で購入する意思があるか聞かれ、購入意思はあると回答したところ「今後もスルガ銀行が融資するので宜しくお願いします」と購入を勧められました。ただ、物件に関しては私自身で持ち込まれても審査が難しいので、必ず不動産業者P社の担当者I氏を通すように言われました

3棟目の購入時も、不動産業者P社の担当者I氏と宅地建物取引士K氏の立ち会いのもと売買契約を行った後に、スルガ銀行東京支店首都圏営業部チーフマネージャー(H氏とI氏)と、不動産業者P社の担当者I氏が同席のもと、融資申し込みと金銭消費貸借契約を行いました。その際も行員H氏から200万円の無担保ローン、250万円の定期預金、積立定期預金を迫られ、すべて融資の条件との事で、前回同様に拒否することができない状況でした。ただこちらから減額を申し出たところ、無担保ローンは100万円に、定期預金は150万円になりました。

赤字経営、度重なる修繕工事

不動産業者P社の説明では、毎月の家賃収入で十分にスルガ銀行への返済をすることが可能であり、さらに返済後に残ったお金で将来に向けた貯蓄ができるということでした。しかし、いざ運営を始めてみると、手元にお金が残るどころか、毎月多くの赤字が発生してしまい、多い月では25万円以上の赤字が発生しました。給与収入や今までの貯蓄から支払いをしないといけない状況となり、非常に厳しい状況に立たされています。
さらにこれら購入物件はいずれも築古物件であったことから、度重なる漏水や排水管のつまりなどが発生し、数十万円規模の修繕工事を何度も実施せざるを得ませんでした。また最善を尽くしても入居率の維持が困難な物件であり、赤字は拡大する一方です。これらの投資用不動産に関するリスクについて、スルガ銀行の行員からは説明を受けたことは一切ありませんでした。

スルガ銀行行員は不正行為を容認

このような不良物件を掴まされてしまったのも、全てはスルガ銀行が自らの営業成績のために融資を強引に通していたからに他なりません。融資審査において、私の知らないところで数多くの不正行為があったことが明らかになりました。まず通帳の預金残高は改竄され、合計で8000万円以上も預貯金が水増しされていました。そもそも私の経歴や源泉徴収票をみれば、これだけの自己資金を貯められるはずがないとすぐにわかるはずです。どのように自己資金を貯めたかも一切聞かれませんでした。
さらにレントロールの改竄が明らかとなりました。入居家賃の水増しだけでなく、賃貸借契約書の偽造まで行われておりました身に覚えのない手付金領収書の捏造や物件概要書の改竄なども明らかになりました。
これら不正行為について、スルガ銀行東京支店首都圏営業部チーフマネージャーのH氏が把握していたことは間違いありません。最初のマンション2棟を購入して1ヶ月後、自宅を購入するために約2000万円の住宅ローンの契約審査を他行で受けましたが、否決されてしまいました。そこでスルガ銀行行員H氏に電話で相談したところ、「融資審査の書類上では、数千万円の現金を保有しているのにも関わらず、2000万円の為に、金利3%以上の当行の住宅ローンを契約するのは、審査部から怪しまれてしまう。」と説明を受けました。私は数千万円の現金など保有しておらず、この時点では銀行の口座履歴が改竄されていたことは知りませんでしたので、行員H氏の説明は理解できませんでした。ただ行員H氏にも断られたことで、住宅ローンを契約することができなくなってしまいました。

さらにスルガ銀行行員H氏が不正行為を認識していたことを示唆する資料として、私と不動産業者P社とのLINEのやりとりが残されています。全3棟の融資契約が終わってしばらく経過してのことですが、不動産業者P社の担当者I氏から連絡がありました。スルガ銀行の融資審査本部が、顧客に対して、不動産購入時に自己資金を支払ったかどうかを確認しており、本部から連絡を受けた場合には、物件価格の1割を自己資金で支払ったと回答するよう私に求めるものでした。融資審査書類の提出は、不動産業者P社に全て委任しており、今回の依頼内容の意図が理解できませんでしたが、スルガ銀行行員H氏からの直々の指示であるとのことで、言う通りにしないとどうなるか分からないと言う恐怖から、LINEの指示に従わざるを得ないと考えてしまいました。ただ不正融資の実態を把握した今になって考えてみると、スルガ銀行行員H氏が不動産業者P社と結託し書類一式を大幅に改竄して融資審査を通した為、行員H氏としては、その改竄内容と辻褄が合うよう私が本部の質問に答える必要があり、そこで行員H氏は不動産業者P社に指示し、私の注意喚起をしたのでしょう。
さらに行員H氏から物件の3棟目の追加購入の際は、不動産業者P社を経由するように指示されたことも、今となっては、融資審査を通す為には、初回の融資審査資料の改竄と矛盾しないように、行員H氏と不動産業者とが結託して新たに融資審査資料を改竄する必要があったからだと想像できます。

私はスルガ銀行と不動産業者により作り出されたスルガスキームという詐欺的手法により、本来よりも高い価格で物件を購入させられ、本来であれば借りることが出来ないような多額の借金を負わされました。現在も毎月赤字が続いており、物件運営に必要な大規模修繕も到底行えず、これ以上赤字が続き持ち出しが増えていくといずれ破綻するのは目に見えています。

自己破産、自殺、憂鬱な日々

子供たちの将来のためにと思って始めた不動産投資ですが、まさかこんな悲惨なことになるとは夢にも思っていませんでした。今は将来のことが不安で仕方がありません。私は自己破産について散々調べました。自殺をすることで、団体信用生命保険を利用して、借金を返済することも考えました。夜は布団に入ってからも言葉で言い表し用のないような恐怖に襲われ、なかなか寝付くことも出来ず、日中も仕事に集中できない状態が続いています。
医師という人の命を預かる立場にありながら、自らの命を絶つということを考えてしまう自分に嫌気がさしており、精神が崩壊してしまいそうです。このままでは子供たちの将来のためどころか、子供たちの将来を台無しにしてしまうのではないか。私が生きていることで子供たちを苦しめることになるのであれば私に残された道はただ一つ死しかないのではないか。このような考えがずっと頭から離れません。

このような破滅的な考えに取り憑かれているのは私だけではありません。このような状況に多くの被害者を追い込んだスルガ銀行を、私は絶対に許すことが出来ません。スルガ銀行には自身が行った過ちを認め、誠意を持って早急に対応をすることを求めます。

<編集部コメント>

スルガ銀行の不正融資被害を受けたSさん。
Sさんの融資審査において、通帳の預貯金残高の水増しやレントロールの改竄など数多くの偽造が判明しました。これらの不正行為の内容は他の被害者と同様で、Sさんが「スルガスキーム」と呼称している通り、スルガ銀行を主導とした定型的な詐欺的行為が横行していました。スルガスキームの被害者は、返済不可能な債務を押し付けられ、死と隣り合わせの絶望的な日々を送っています。
Sさんの救済はもちろん、同様の被害者が発生しないためにも、不正融資問題の早期解決が望まれます。