不安におびえて暮らす毎日
私は1962年生まれ、現在59歳です。保険会社で管理職として働いています。
2015年3月から2016年9月の間に、計3棟のマンションを購入しました。いずれも北海道の物件で、スルガ銀行からの融資は合計2億9790万円になります。今そのスルガ銀行へのローンの返済のため苦しみ続けており、後悔と不安で一杯で、家族のことを思うと団体信用生命の保険金を使い、自分の命で借金を清算するしかないと最悪の状況ばかりを考えてしまい、夜も眠れません。
きっかけは同級生に誘われて
そもそものきっかけは、2015年3月に同級生に誘われて食事に行ったことでした。久しぶりに会った彼は不動産の営業をしており、その席で投資用不動産を勧められました。当時私は不動産投資には全く興味は無く、借金をすることにも抵抗があったので断り続けました。しかし、自分が扱っている不動産はよくある節税目的のものではなく、家賃収入でしっかりとした利益が出るものなので話を聞いてほしいと言われ、収支の試算表を見せられました。現状でも年間約1,000万円近い家賃収入があり、さらに2年間はサブリース契約もついているので、経費を考慮しても十分な収入が得られるとても良い物件だということでした。しかも諸費用等も含めてすべて「スルガ銀行が融資してくれることになっているから自己資金も必要ない」ということでした。彼に本当にそんなことが出来るのかと聞くと、スルガ銀行の役員とも親しくしているので大丈夫だと説明されました。とりあえず事前審査だけでも受けてみてはどうかと勧められ、事前審査だけならと思い受けたところ、2日ほどで融資の審査が通ったという連絡があり、しかもスルガ銀行が全額融資すると言われました。同級生からは悪い物件なら銀行がそこまで融資をすることはないが、スルガ銀行はもっと融資できる物件だと判断しているので間違いのない物件だと勧められました。またスルガ銀行は年度末決算にあわせて3月中に融資を実行したいとのことでした。私はそれまで賃貸用マンションを購入することなど考えたこともありませんでしたが、そこまでスルガ銀行が積極的なのであれば信じてよいだろうという気持ちになりました。また、私は子どもの病気の治療のために多額の医療費を負担していました。あと数年で迎える定年後の収入を増やせるのなら、定年後も安心して子どもに治療を受けさせてやれるだろうと考え、マンション購入を決意しました。
喫茶店やホテルのロビーで行われた融資契約
不動産売買契約は、勤務先近くの喫茶店で不動産業者E社の社長と行いました。スルガとの調印は、最初は2015年4月に勤務先近くの喫茶店で不動産業者E社社長とスルガ銀行札幌支店の行員W氏が同席して行いました。この時はじめてスルガ銀行の行員と会いました。行員W氏は「社長にはとてもお世話になっています」「何時でもどこにでも喜んで行きます」などと言っていました。そんな初対面の挨拶を交わした後、すぐに書類の記入を求められました。多くの書類に私がまずは住所と名前を書いていき、その後、行員W氏に指示された箇所に指示されたとおりに記入していきました。たくさん書類があって時間がかかるので、私が記入している間にW氏が押印してもよいかと尋ねられ、彼が押印していきました。書類の記入が終わるとW氏はすぐに戻ると言い、不動産投資の将来のリスクなどについては一切話がありませんでした。
想定よりも少ない収入、サブリース業者の一方的解約で不安で一杯に・・
1棟目のマンションの家賃収入は、購入直後から事前に聞いていた額よりも少なく、不安で一杯になりました。その旨を不動産業者E社に訴えていたところ、1棟目購入から半年ほど経過した頃に、「安定した収益を上げるため」ということでもう一つ物件を購入することを提案されました。今回の物件はスルガ銀行から情報をもらったもので、収益性が高く、間違いのない優良物件なので購入すれば収支を大幅に改善できるという話でした。また今回もスルガ銀行が全額を融資してくれるので購入したほうが良いと勧められました。私は、1棟目の収支が当初の試算よりも悪く不安で一杯で、何とかしなければという思いで、スルガ銀行が間違いのない優良物件と言っているのなら安心だろうと信じ、2棟目の購入を決意しました。
それから半年ほど経過した2016年6月に、1棟目のサブリース業者から突然、契約解除の通知が届きました。私はE社に連絡をしてサブリースを契約通り継続するように求めましたが、全く応じられませんでした。私はその時不安に押し潰されそうで、半ばパニック状態であったと思います。そんな中、E社から3棟目の購入を勧められました。今度の物件も入居状況がとても良い物件なので購入することで収支を改善できるという話です。しかも今回もスルガ銀行が全額融資してくれるということでした。私は、今のままだと定年後も子どもの医療費を出し続けるどころか、不採算物件を抱えたまま定年を迎えてしまうのではないかと恐怖にかられ、藁にもすがる思いで、3棟目を購入しました。
しかし、最後の望みと思って購入した3棟目は、ほぼ満室と聞いていたのに、最初の家賃明細は空室だらけで全く話が違いました。赤字の家賃明細を見るたびに、不安で夜も眠れなくなります。間もなく3棟とも大規模な修繕が必要になりますが、現状ではそのための費用は到底捻出できません。家族に迷惑をかけないためには自らの命と引き換えに借金を返済するしかないと思い詰めてしまいます。
明らかになったスルガ銀行の不正行為
途方に暮れていたところ、シェアハウスかぼちゃの馬車事件が明るみになり、私はまさかと思い事件の詳細を追いました。結果、第三者委員会の調査報告書に記載されているスルガ銀行の不正行為と同様の、自己資金資料の偽装、レントロール(賃料表)の偽装、手付金等の領収書の偽装などが、私の契約においても行われていたことが分かりました。また、融資を受けるにあたって、毎回、定期預金や積立定期などを契約させられていました。
さらに、売買契約書の偽装も行われており、私が契約した金額よりも200万円も多く融資されていました。思い返せば、融資実行の3-4ヶ月後にスルガ銀行行員W氏から電話があり、「自分の手違いで200万円多く融資してしまったが毎月の返済額の差は少額なので了解してほしい」と言われたことがありました。その時点では何のことかわからなかったのですが、資料開示請求して契約書を確認したところ、スルガ銀行が審査に使用した契約書は偽装されていたことが分かりました。
振り返ると3度の融資契約は、すべて年度末や月末の最終日に間に合うように短期間で実行されていました。契約書を偽装して200万円多く融資したのも月末最終日にノルマを達成するために意図的にやったのではないかと疑っています。これも過度なノルマを達成するために不動産業者と連携して不正行為を行っていたかぼちゃの馬車事件と全く同じ構図だと思います。
物件の売却も検討しましたが、不動産業者に売買価格を査定してもらったところ、せいぜい購入金額の半額と言われてしまい、売ることもできません。子どもの医療費も捻出し続けられるか心配ですし、このままではいずれ返済に行き詰まる日がくると思うと不安で何も手につかなくなってしまいます。
そもそも通帳等の偽装などがなければ融資はおりず、私は不動産を購入することはできなかったはずです。スルガ銀行が不正をはたらいて融資をしていたのですから、契約自体を白紙に戻してほしいと思います。スルガ銀行が過度なノルマを達成するためにシェアハウス以外にも不正融資をしていたことは第三者委員会の報告書でも明らかにされているところです。しかし、これだけ類似点があるのにも関わらずスルガ銀行はアパート・マンション向け融資には定型的な不正があったとは認めず、ADRにおいても一方的な主張を通知してくるだけで全く納得出来ません。
スルガ銀行は不正融資の被害者へ誠実に対応しますと言っていますが、実際は全く誠実な話し合いは行っていません。こうした事実を多くの方々に知っていただき、早期にこの問題が解決されることを切望しています。
<編集部コメント>
お子様の多額の医療費を老後も継続して支払いができるようにと始めた不動産投資。スルガ銀行の過度なノルマを達成するための犠牲になり、ここまでの仕打ちを受けることは思いもよらないことだったのではないでしょうか。スルガ銀行は不正融資により、被害者の心を蝕み、家族の仲も裂いていきます。読んでいるだけで胸が締め付けられます。安心してお子様の医療費の支払いができますよう、一刻も早くNさんが救済されることを願っています。