破綻の時限爆弾を抱えて

掲載日:2022年3月12日

私は、1967年生まれ、現在53才です。1991年に大学を卒業し、同年に現在も勤務している金融機関に入社して、管理職を担っています。家族は、妻と高校2年生の子供が1人の3人家族ですが、現在私は単身赴任をしてます。

破綻がやってくる恐怖

私は2017年、茨城県にある鉄骨造3階建のアパートを7160万円で購入する契約をし、そのためにスルガ銀行から7160万円の融資を受けました。

当時、子供は小学6年生で、将来は人の命を救う医師になりたいとの志を持って私立の中高一貫校への進学を希望しておりました。今後膨れ上がるであろう教育費と老後の生活を考えると会社員としての給与だけでは心許ないと思い、他に収入を得ようと考え不動産投資に関心を持つようになったわけですが、今となっては、スルガ銀行へのローンの返済や物件価値と大きな乖離がある負債を抱えていつ破綻するかもという恐怖におののく毎日です。こんなに恐い思いをするのなら老後の不安の方が何倍もマシだったと悔やまれます。

それよりも、子供が遊びたい盛りの小学4~6年生の時期に必死に勉強して第一志望の中高一貫校に進学できたのに、「退学させなくてはならなくなるかも」、「何年かは経済的に延命しても、とても医学部になんてやれないかも」と思うと、申し訳なく、もう本当に涙が止まらなくなるのです。

  精神的に追い詰められたピークの時はもう耐え切れなくなり、妻の前で「今まで自殺する人の気が知れなかったけど、こういうことなんだ・・・」、「こうなったらアパートに火をつけるしか・・・」とつい漏らしてしまい、壊れておかしくなってしまった私を目の当たりにした妻もこれ以上ない不安を感じています。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

私は生きているのか

それから数年間、生きている気がしませんでした。仕事や生活はしているのですが、実感がないというか目の前に映像が流れているだけという感覚しかないのです。言葉で表すのは難しいのですが、もし医師の診断を受けていれば間違いなく精神疾患だったと思いますが、その時は病院へ行くという判断すらもできませんでした。生活や性格も変わりました。恥ずかしい話ですが、道を歩いているときはお金が落ちていないか探しながら歩きました。日常生活で買うもの食べるもの、すべて最安値を探し回りました。できるだけお金を使わないようにしました。一食くらい抜いても死なないと、昼食抜きの日も増えました。今、こうやって、かろうじて正常な精神状態でいられるのは、SI被害者同盟に参加し、同様の被害に遭われた方と情報共有できたことや、相談できる弁護士の先生がいて下さるおかげです。それがなければ本当にどうなっていたか分かりません。

100万円の定期預金と積立預金が融資の条件

そもそものきっかけは 2016年に当時の赴任先の名古屋市であった資産形成セミナーに参加してみたことに始まります。セミナーの主催者はO社(不動産仲介業者)で、一棟アパートへの投資は手堅く資産形成ができるという説明でした。それから、物件を複数紹介してもらいましたが、いずれの物件も少なくとも数百万円を自己資金から拠出しなくてはならないとのことでした。そのような資金がない私は断り続けていましたが、次の年に全額融資できる物件を紹介され、融資する金融機関はスルガ銀行であると聞きました。O社はスルガ銀行が融資付けする物件をいくつも仲介販売した実績があるとのことで、スルガ銀行は業績の良い銀行であるから安心と聞かされ、その銀行が高く評価している物件なのだから良い物件に違いないと思いました。

売買契約は2017年に名古屋の喫茶店にてO社のKと行いました。他に同席者はいませんでした。金消契約はスルガ銀行新宿支店にて、行員のAと手続きを行い、その場にはO社のKが同席しました。KとAは以前からの顔見知りのようで、親しげな雰囲気であったことから信頼関係ができているのだなと安心していました。担当のAは事務的に手続きをするのみで、投資用不動産の空室リスクや将来的に大規模修繕が必要になることなど、先々のリスクについての説明もなければ、その計画について私に問うこともありませんでした。また、金消契約の際に初めて100万円の定期預金と月6万円の積立て預金が条件と言われましたが、契約する当日に言われてもとても後に引ける雰囲気ではなく、承諾せざるを得ませんでした。

物件はサクラ入居の痕跡、預金通帳の改ざんも発覚

購入時、O社のKからは、購入した物件からは毎月54万円以上の賃料が見込まれる一方、スルガへのローン返済は月34万円だから十分採算がとれると聞かされておりました。さらに、当初の利息は年4.5%だが2年後には3.5%に引き下げてもらえるから返済は月29万円になるとの説明も受けました。

購入時は12部屋のうち空室は1部屋だけとの説明でしたが、購入して半年の間に立て続けに5部屋の退去があり、あっという間に物件の半分が空室となってしまいました。短期間に続けて退去が発生したので不審に思い、ある部屋の退去に立ち会ったところ、前オーナーが用意していたと思われる入居者プレゼント用の日用品が手付かずで残っており、家具を置いた跡も無くきれいなままで、人が住んでいた 形跡がありませんでした。また、それから半年もたたない間に更に2部屋の入居者からほぼ同時に家賃減額の交渉が入りました。2人とも「減額しないと退去する」というので、やむなく減額に応じましたが、それでも間もなく退去となりました。結局、購入してから約1年の間に7部屋もの退去が発生したことになります。どう考えても7部屋全てがサクラの入居者だったとしか考えられません。その後の必死の営業活動で入居者が付くようになりましたが、購入時の家賃から1割以上減額しないと申込みがありませんでした。サクラの家賃を相場より高くして収益性が高い物件に見せかけていたのです。

そのほか、物件の屋根に付いている太陽光発電による収入も入れて利回り計算されていたのですが、現在の発電買い取り契約(月平均38,000円)は2022年1月で終了することが決まっていたにもかかわらず、購入前に説明がありませんでした。購入後に受け取った太陽光発電の契約書を見て初めて売電契約の単価に期限があることを知りました。2022年2月以降は月1万円の収入にも満たないことが分かりました。このままでは赤字が拡大する一方なので、購入時とは別の業者に物件の売却を依頼したところ、私が7,160万円で購入した物件は、その5ヶ月前に業者が4,500万円で買い取っていたことが判明し、これが適正相場であると聴かされ愕然としました。更に、スルガ銀行への開示請求で審査資料を取り寄せましたが、私の預金残高が5,000万円も水増しされていたり、私のものとは異なる契約書が付いていたり(署名捺印は私のものではありませんし、販売業者もO社ではなくWという聞いたこともない業者でした)、改ざんだらけで大変驚きました。

私の人生はスルガ銀行によって破壊された

銀行の本来の役割は、融資することで経済活動を支えて社会に貢献し、その結果として銀行も収益を得るものであるはずなのに、スルガ銀行のアパ・マン融資は、物件購入者を犠牲にしてスルガ銀行だけが自己の利益を上げようという身勝手な行為でしかありません。そのような銀行に騙され、今こんなにも苦しい目に遭っているのかと思うと、本当に悔しくて悔しくてなりません。そして、憎くて憎くてなりません。それを放置している金融庁に対しても同じ思いです。

私はこれまで自分の人生を地道に真面目に頑張って歩んで来たつもりです。それが、子供の将来のため、妻との老後の生活のため、と思って購入した物件で、まさか銀行に人生を破壊されるとは夢にも思いませんでした。私の人生はスルガ銀行によって壊されました。今はこの壊された人生が再建できるよう、スルガ銀行が一刻も早く正気になり、過ちを認め、誠意を持って償うことを願うばかりです。

<編集部コメント>

お子様の将来や老後のことを考えて始めた不動産投資。ここまでの仕打ちを受けることは、今の日本社会から考えると思いもよらないことだったのではないでしょうか。スルガ銀行は不正融資により、被害者の心を蝕み、家族の仲も裂いていきます。読んでいるだけで胸が締め付けられます。一刻も早く、被害者の救済が望まれます。