苦悩の日々

掲載日:2022年4月24日

私は1968年生まれ、現在53歳です。妻と息子2人の4人家族で、専門商社で管理職をしております。

家族の将来に対する不安を抱き、不動産投資に踏み出した

私が管理職となった2014年頃から様々な投資の勧誘が来るようになりましたが、当時はさほど興味もなく仕事に没頭する日々でした。しかしそのような勧誘や先輩の退職、役職定年、家族の介護などの話を聞くことが多くなり、漠然と将来に対する不安が芽生えた時期でもありました。そんなある日、体の不自由なご家族を持つ同僚から、自分に何かあった時のために不動産投資をしているという話を聞きました。大変うまく回っており、家計の支えになっているとのことでした。後日、私の父がパーキンソン病などの疑いがあると診断されたため、同僚に父の話をしたところ、介護の大変さ、それに備える必要性を切々と説かれ、不動産投資を勧められ、2015年末に不動産会社K社を紹介されました。散々悩みましたが、私は父の介護などで会社を辞めねばならない可能性を懸念し、K社に不動産紹介を依頼しました。

スルガ銀行員と他関係者が一堂に介しての契約と、スルガ銀行の融資条件

2017年11月に突然K社から「掘り出し物が出た。事前にスルガ銀行に融資の審査を依頼し融資の承認も得ている。直ぐに判断してほしい。」と連絡が来ました。対象の物件は千葉県にある築30年の鉄筋コンクリート造マンションでした。毎月約20万円が手元に残るとの説明を受け、これなら父の介護費用の備えにも十分だと思い購入を決断しました。その後、同月末にスルガ銀行から1億9000万円の融資をうけるというスピード契約をすることになりました。K社担当からは「ここだけの話、スルガ銀行の担当者は同月のノルマの関係でSさんの為にかなり無理をしている」と聞かされ、何とか月内に契約が全て完了できるように11月30日18時集合ということになりました。契約当日はK社の他にスルガ銀行の担当者、物件の売主、司法書士、保険会社がK社の事務所に集まり、当日私が事務所に着くと既に7、8名いてびっくりしたのを覚えています。次々に名刺交換を行い誰が誰だか分からないまま手続きが始まりました。各人より「必要書類に記入してください」と次々に書類を説明され、質問すると嫌な顔をされました。大量の書類に名前と住所を繰り返し書かされ、さらに「間違えるとやり直しになるので代わりにハンコ押しますね」と言われ、間違えて迷惑をかけてはいけないと思い、ハンコを渡して押印してもらいました。
最後のスルガ銀行の手続きの直前に、融資に際してK社より以下の融資条件を説明されました。
①スルガ銀行から満額は融資できないので、購入費用の内1000万円は無担保ローンとなる。その内スルガ銀行より500万円、残りの500万円はアプラスからの借入となる。(翌日に同社と契約)
スルガ銀行の定期預金と積立式定期預金の契約。また積立式定期預金に家賃から毎月13万円の自動積立を契約すること。
③他行にある私の給与振り込み口座から毎月5万円をスルガ銀行の普通口座に自動振込み設定をすること。
スルガ銀行のクレジットカードを申し込むこと。
「十分な収益があるので大きな影響は無い。3-4年後にスルガ銀行と金利引下げ交渉が可能。定期、積立式定期の契約も金利交渉時にメリットとなる。Sさんに不利益となる条件は無い」とK社より説明されました。何となく釈然としませんでしたが、損が出ることはなく、何よりも同僚と同じ条件との説明と、手続きの疲れもあり、その時は納得してしまい、スルガ銀行との手続きに至りました。スルガ銀行の書類を書き終え、行員から「質問はありますか」と言われ、「自動積立の分から税金などを払っても金利交渉には影響しないのでしょうか?」と質問したところ、同行員は顔を曇らせながら「口座の残高が溜まってくると使ってしまう方がいるのですが、溜めておいた方がいいですよ。K社さんに任せておけば大丈夫なので、何かあったらK社さんに相談してください。」と言いました。全ての手続きを終えて帰路に就いたのは22時頃でした。

不動産業者は消え、スルガ銀行からは冷遇され、不都合を阻止される

物件購入直後は順調で、数年後のスルガ銀行との金利交渉に向けて準備しておきましょうなどとK社より言われていましたが、半年後に異変が起こりました。不動産売買の条件として物件の修繕が必要な個所があり、その修繕を行なっていないとスルガ銀行より指摘があり、この修繕を行わないとスルガ銀行から一括返済を請求されてしまう。その修繕費用はK社が全額負担し、家賃とは別に振り込むのでローンを組んでほしいとK社から言われ、同社と覚書を交わし、同月にジャックスで2,000万円の無担保ローンを組みました。その頃からK社からの入金が遅れていき、次第に口座がマイナスになっていきました。K社からは「スルガ銀行とSさんの返済スケジュール変更の話をしているので、同行からの電話や郵送物はとりあえず無視してくれ」と言われていました。K社の話では同時期にスルガ銀行のシェアハウス問題もあり時間が掛かっているとの事でした。その後K社と連絡が取れなくなり、すぐにスルガ銀行から私の勤務先に電話があり、返済が遅れている件で同行の出張所に呼ばれました。行員からは、行内で色々と調査しており協力して欲しいと依頼されました。スルガ銀行の誰とどんな話をしたのか?不動産業者からはどんな話があったのか?また私が持っている書類、資産状況や毎月の家計状況の提出を求められました。数日後スルガ銀行から連絡があり、「様子を見つつ返済計画を相談しましょう。K社を訴えて損害を少しでも取り戻してはどうでしょう。」と言われました。しかし私は返済遅延と口座のマイナス対策、また家族のサポートで手一杯で、とてもK社を訴えるまで手が回りませんでした。
1年後、スルガ銀行に返済スケジュールと金利の相談をしたいと連絡したところ、行員からは「このままではSさんは破産しますよ。管理会社を紹介するのでその管理会社に変更するのであれば、相談に乗れる可能性が出てきますが、どうしますか?」と言われました。スルガの行員より「破産しますよ」と言われ、私は真っ先に家族のことを考えました。介護が必要となるであろう父、進学を控えている息子たち、父のことで精神的に苦労している妻。家族を守るために「もう死ぬしかない」と思いました。スルガ銀行からの帰りの電車を待っている時も、いっそ飛び込んだらどうだろうと思い詰めました。
スルガ銀行指定の管理会社に変更後、シェアハウス問題の実態が解明されるにつれ、私は同行との取引に強い不安を覚え、管理会社に賃料の振込先口座変更の相談をしました。最初は同社の担当者は「大丈夫ですよ」と言っていたのにも関わらず、後になって「スルガ銀行に相談したら、口座変更はできない条件になっていると言われ、当社としても受けられません」と言われました。スルガ銀行が息の掛かった管理会社に圧力を掛けたのではないかと強く疑っています。

スルガ銀行のシェアハウス向け不正融資とアパートマンション向け不正融資は同じスキームであった

私はスルガ銀行のシェアハウス問題の詳細を知り、私のようなアパート・マンション向けの融資もシェアハウスと同様の不正融資スキームが仕組まれていたこと、むしろアパマン向けで培われたスキームがシェアハウスに応用されていたことを知り、激しい怒りを覚えました。スルガ銀行が用意したスキームに不動産業者等がグルになり、私のような不動産投資の素人をカモにしていたのです。我々はただただスルガ銀行の利益を上げるために存在するのでしょうか?金利支払いでスルガ銀行の利益に貢献できない債務者は破産しろということなのでしょうか?シェアハウス問題の発覚後、スルガ銀行内での激しいパワハラが問題視されましたが、我々のような不正融資被害者も同様の扱いを受けているように思えてなりません。私は私の家族の為、できる限りの手を尽くし、スルガ銀行の不正融資問題の是正を訴え続けます。共感して頂ける方には、是非ともお力をお貸し頂きたいと思います。これ以上私のような被害者が増えないよう、精一杯頑張りたいと思います。どうか、宜しくお願い致します。

<編集部コメント>

家族の将来の不安を少しでも軽くしたいとの思いで決断した不動産投資が、まさか銀行が仕組んだ不正スキームであったとは。。Sさんが自殺を考える程に追い込まれてしまったのは本当に辛いことです。その上、スルガ銀行は自社に都合の良い管理会社を勧め、自分達に不都合が生じないようにコントロールするなどの悪事を働いており、本当に許せないです。
Sさんの問題が解決してご家族と共に安心して暮らせるようになること、またSさんのような被害者がこれ以上増えないことを心から願っております。