ぼったくり業者と共謀のスルガ不正融資地獄

掲載日:2022年12月6日

私は1968年生まれ、現在52歳です。1994年3月に大学院を卒業し、サラリーマンとして働いています。

スルガ銀行による融資承認済み物件の紹介

2016年3月に不動産業者O社(代表取締役:K氏)の資産形成セミナーに参加したことに始まります。不動産を活用した資産形成の勉強会のつもりで参加しましたが、参加者は私一人であったため、K氏との個人面談となりました。面談では、地方築古1棟不動産の販売物件の案内を受けました。その後も何度か面談やメールを通じて物件紹介を受けました。具体的には「初期費用なしで購入できる」「物件はスルガ銀行で既に融資が承認されている」「スルガ銀行は一番投資効率が良い」「1、2年後に金利が下がる」「売却の際には高く売れる」「不動産会社が不具合部分を修繕して1年間家賃保証する」「うちの物件の入居率は90数%以上です」「5億円分買えば年収1000万円になる」などの説明を受けました。

既に銀行に評価されているなら安心だと思い、また収支表上では金利4.5%でも確実に収入が得られることが表示されていたため、次第に買う気になりました。物件を現地に見に行きたいとK氏に言いましたが、「売買の話が他の業者に知れて横取りされたりするため、現地に行くのは得策ではない」と止められました。また、「早く決断しないと良い物件はすぐ売れてしまう」「今買わないと融資が受けられない年齢になってしまう」などと早期購入決断を迫られました。
最終的にはスルガ銀行の評価が得られていることの安心感が決め手となり、購入を決意しました。

行員が金額未記入の引き落とし伝票に署名・捺印を指示

2016年4月、鉄筋コンクリート造5階建のマンションを購入する契約をし、そのためにスルガ銀行から1億7000万円の融資を受けました。また続けて重量鉄骨造5階建のマンションを購入する契約をし、そのためにスルガ銀行から6700万円の融資を受けました。融資申込はスルガ銀行新宿支店(担当:A氏)で行われました。口座開設、融資申込、多くの書類の調印を行ないました。その際、銀行口座からの引き落とし伝票に、金額等は未記入で署名と押印だけさせられたことを鮮明に覚えています。その時は、白紙の伝票にサインすることに違和感はありましたが、「今は細かい金額が記載できないので、後日私の方で記載します」と説明されました。銀行員の言うことですのですっかり信用してしまいましたが、その後、融資金以外に、私の知らない所で口座に多額の現金が入金されたり引き落とされたりしていることを知り、非常に驚きました。

事前の説明と大きく異なる賃貸運営

購入前の不動産業者O社の説明では、毎月の家賃収入で十分にスルガ銀行への返済をすることが可能であり、さらに返済後に残ったお金で貯蓄ができるとのことでした。ところが実際はどちらの物件も赤字経営の状態です。2物件で月あたり約60万円もの赤字が続くこともあります。
さらに両物件とも老朽化がひどく、前所有者による適切なメンテナンスが長期間されてなかったため、隠れた瑕疵が非常に多く見つかりました。室内や共用部において早急に対応が必要な水漏れや損傷が頻繁に起き、高額な修繕費の負担が続いています。さらに屋上防水や外壁塗装、エレベータ改修工事など、数千万円単位の大規模修繕実施の必要性について、管理会社や設備メンテナンス会社から指摘を受けています。

融資審査書類の改ざん、契約書の捏造、不正行為の数々

不審に思い、スルガ銀行に融資関連書類の開示を請求したところ、多くの改ざんが見られました。

物件購入前に不動産業者O社より提示されたレントロールが改ざんされており、実際より多くの入居者が居るように表示されておりました。O社に提出した銀行通帳コピーは、残高12万円が5212万円と5000万円以上も水増しされ、そこには「原本の写しに相違ありません」と新宿ハウジングローンセンター長の名前が押印されておりました。売買契約書や重要事項説明書は、売主および取引業者の名前が別の業者にすり替えられておりました。また私の知らない所で手付金1000万円(鉄筋コンクリート造5階建のマンション)、740万円(重量鉄骨造5階建のマンション)の領収書がスルガ銀行に提出されており、受取者も私の知らない業者名と代表者名が記載されていました。
銀行と不動産業者を信頼して真面目に提出した資料はそのほとんどが改ざんされ、勝手に署名や捺印をされたものもあり、納得や承諾して購入したと言うには程遠い不正行為に愕然とするばかりです。

物件を売却するにも5000万円以上の手出しが必要で、そのような費用は用意できません。また物件価値に対してスルガ銀行の残債が大きく上回っており、大きな担保割れのために、多くの他銀行からもローン借り換えを拒否されました。

物件を購入してからの5年間は、退去に伴う空室や修繕、隠れた瑕疵による緊急な大規模修繕のために多額の出費を余儀なくされ、毎月の収支赤字のため、常に不安と恐怖にさいなまれてきました。このままでは経済的に破綻して家族も崩壊するのではないかという極度の不安が長期的に続き、サラリーマンの仕事も集中できずに成果が劇的に落ちてしまいました。死亡した場合に団体信用保険によりスルガ銀行の残債が支払われること考えて、何度も自殺を考えました。現在は、家族の勧めで心療内科に通い、うつ病の治療として、抗うつ剤、抗不安剤を処方してもらっております。しかし、根本的な問題は解決しておらず、スルガ銀行の返済を思い出す度に、急に大きな不安に襲われ、将来が真っ暗になり、絶望的な気持ちになる、という地獄の毎日を繰り返しております。

スルガ銀行が不動産業者と共謀して、自社の利益のために顧客を騙して不幸と地獄のどん底に突き落とした事実を早急に自認し、更に多くの犠牲者が出る前にスルガ銀行が早急に適切な対応をとる事を強く希望します。

<編集部コメント>

スルガ銀行の不正融資被害を受けたNさん。スルガ銀行と悪徳不動産業者が結託し、Nさんを借金地獄に突き落としました。
Nさんはスルガ銀行と不動産業者を信用して、物件購入を決意し、融資審査書類を提出しました。ところが蓋を開けてみると、提出資料の多くが無断で改竄され、手付金などの見知らぬ資料が捏造されており、数多の不正行為の上に成り立った金銭消費貸借契約であったことが判明しました。結果として物件を高値掴みさせられ、物件運営に困窮し、不正融資物件から逃れる術がなくなってしまいました。
スルガ銀行はほとんどの事例で不動産業者を経由して融資審査書類を受領していますが、この過程において、被害者の知らないところで銀行と不動産業者が結託して融資審査書類の改竄や契約書の捏造が行われていました。融資審査業務の抜本的解決が必要です。Nさんのような被害者が発生しないためにも、不正融資問題の問題解決とスルガ銀行の経営再建が望まれます。