スルガ銀行 不正の事実-021 過度の効率性重視、審査条件の暴露
2018年9月7日に公表された、スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書によると、スルガ銀行は収益不動産ローンについて、物件の評価が出てしまえば融資額は固まるので、あとは一定の年収以上の者であれば借入人は誰でも良い(自己資金確認資料等の書類が揃えば良い)といった過度に効率的な処理に終始していたことも、不正融資の発生原因となったと記載されております。
効率性重視のため、融資審査書類は融資の事務処理に慣れている業者からの徴求が当たり前となり、スルガ銀行の行員は金銭消費貸借契約(金消契約)の締結の際にしか債務者と顔を合わせないことが常となりました。
さらにその結果、金消契約締結の場面で、無担保ローンのクロスセル(抱き合わせ販売)が強く奨励されるようになり、且つそれは効率性追求のため、業者から債務者に働きかけるよう、行員が業者に依頼する運用が形成されました。
効率性重視がエスカレートし、ついには「最初から融資条件を業者に教えておけば、それに合う案件だけとなり銀行側に無駄がない」という発想が広まり、行員から業者への審査条件の暴露が盛んに行われ、その結果、業者側が審査条件に合うエビデンスを偽装工作する事を可能にしてしまいました。
これと合わせて、スルガ銀行 不正の事実-008にも紹介した通り、スルガ銀行は審査部が審査すべき資料を支店長確認で完了とする制度を導入し、ずさんな審査を通し、本来融資をしてはいけない顧客に対しても無理やり融資を行い、結果、多くの不正融資被害者を生むことになりました。
(参考サイト)スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書(190/338ページ)
https://www.surugabank.co.jp/surugabank/kojin/topics/pdf/20180907_3.pdf