スルガ銀行 不正の事実-017 売買契約書の偽装
2018年9月7日に公表された、スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書によると、スルガ銀行は融資基準として「自己資金10%ルール」が存在し、売買価格の90%が融資限度額とされていましたが、このルールを潜脱するために売買契約書の偽装が行われたことが記載されております。
スルガ銀行が融資可能な「売買価格の90%」で実際の売買価格及び諸費用がカバーされるよう虚偽の価格を記載した売買契約書が、スルガ銀行の審査用書類として不動産業者より提出されていました。
例えば2億円の物件に対しては、本来であれば売買価格の90%である1億8000万円までしか融資することができないため、自己資金2000万円を用意する必要があります。しかし自己資金2000万円を保有しているようなサラリーマンはほとんど居ないため、そのままではスルガ銀行の営業は営業成績を上げることができません。
そこで、スルガ銀行の営業は2億円の物件に対して、例えば2億3000万円の売買契約書を不動産業者に提出させることで、2億3000万円の90%である2億700万円を融資可能となり、本来の物件価格2億円+諸費用をカバーすることができるようになるのです。
これについて、スルガ銀行行員も二重契約を了知していることを推認させる事案も確認されております。スルガ銀行に見せる高い価格の売買契約書には印紙を貼付しないことを知る行員が、不動産業者に対し印紙のみの画像を送付させる行為をしていたのです。
なお、このフルローン、オーバーローンにより自己資金が不要となることで、不正融資による被害が一気に拡大することとなってしまいました。また、この売買契約書の偽造に併せて「自己資金の改ざん(通帳の偽造)」や手付金領収書の捏造が行われております。
この不正行為により、本来融資されるはずのない物件や顧客に対し、本来の価値以上の融資が、通常では有り得ない件数で実行されました。その行為は、スルガ銀行 不正の事実-005でも紹介していますように、スルガ銀行内の過剰な営業ノルマ達成の一助になり、その為に多くの不正融資被害者が生まれることとなりました。
(参考サイト)スルガ銀行株式会社 第三者委員会 調査報告書(96/338ページ)
https://www.surugabank.co.jp/surugabank/kojin/topics/pdf/20180907_3.pdf