スルガ銀行 不正融資問題の早期解決を!

掲載日:2022年7月24日

私は1974年生まれ、48歳です。大学院を卒業後、2016年7月まで最初の会社で働き、2016年9月に転職しましたが、スルガ銀行からは退職直後の無職であった時期に融資を受けました

スルガ銀行が認めた事業、退職直後の融資契約

2016年3月、友人A氏に、当時勤めていた会社の退職について相談したことに始まります。A氏は様々な金融投資商品をあっせんする会社を立ち上げていました。A氏からは「会社を辞める前に、不動産投資で安定な収入を得ておいた方が良い」と、不動産投資をするように強く勧められました。2016年5月、A氏から信用できる提携先の業者として、不動産業者T社(代表取締役:O氏)を紹介されました。O氏によると「当社(T社)はリノベーションに強みを持っており、リノベーションによって不動産価値を向上できる物件だけを全国から仕入れ、自社ブランドとして物件再生をしています。オーナー様には、保有期間中は家賃を保証し、5年経過後は海外ファンドに売却する計画で、その際には残債額以上の価格で自社が買い取る保証をしております。」とのことでした。さらに「融資をするスルガ銀行がこの事業を認めており、Nさんの同僚社員の方が何人もこのプログラムに投資されています。オーナー様にはリスクなく利益を取って頂けます。」と説明を受けました。A氏が紹介するのだから間違いないだろうと考え、投資物件の選定を不動産業者T社に任せることにしました。
その後、2016年7月に、A氏を通して、T社から地方の一棟マンションを紹介されました。ちょうどその時、私自身の身にも大きな変化がありました。全く予期せず、入社以来ずっと所属していた部署から別の部署への異動の内示を受けたのです。突然のことでしたが、こういった偶然は重なるものだなと、運命めいたものを感じていました。悪い人事異動ではなかったのですが、かねてより退職を考えていたので、どうせいずれは退職するのであれば、タイミングとしては、新しい部署で歓迎会をされる前の今しかないと考えました。
そこでT社の代表取締役O氏に、早期退職が問題ないかを相談したところ「融資時に退職していたとしても、スルガ銀行には接待の場で全てオープンに話をして、間違いなく融資が通るように話をつけるので安心して下さい。」と言われました。人物を見て融資を決めているので、その時に退職しているかどうかは問題ではないと言われましたが、物件の担保価値が高く評価されているが故に融資が通るのだろうと考えました。スルガ銀行の融資に支障がないことを確認でき、予定通り退職することを決めました。そして、物件の購入意思を伝え、以降は全てを不動産業者T社に任せたまま、売買契約日を迎えることになりました。

行員からリスク説明なし、抱き合わせ融資の要求

売買契約当日、大阪府のマンションを1憶6500万円、さらにもう一棟として富山県のマンションを3憶9000万円で購入する契約をし、そのためにスルガ銀行から合計4憶9900万円の融資を受けました。
当日は喫茶店に集合しました。まずは不動産業者T社の営業担当M氏と、重要事項説明担当の宅建士K氏の2名と売買契約を行いました。代表取締役O氏と友人A氏は同席しませんでした。事前に紹介を受けていた2棟分の売買契約でしたが、それぞれの重要事項説明は5分程度とごく短時間で終了しました。私にとって初めての不動産購入であったので勝手が全く分からず、M氏に言われるがまま、指定された箇所に署名・捺印を行い、途中M氏より「間違えないように私が捺印しますよ」と言われ、M氏に捺印を任せる形で、淡々と契約手続きが進みました。売買契約書の表紙と署名欄だけを急ぎスルガ銀行にFAXする必要があるとのことで、K氏が契約書を持ってコンビニに行くために途中で外出しました。
開始から1時間が経ち、売買契約の手続きが一段落した頃、スルガ銀行ドリームプラザ日本橋支店の担当者2名(M氏、T氏)が合流しました。物件購入に必要なローン契約ということで、前述の4億9900万円の金銭消費貸借契約(2件別々)に加えて、口座開設の申し込み、生命保険の加入申込、定期預金500万円の契約、さらには抱合せの2000万円のフリーローンの契約をすることになると説明され、次々と署名・捺印を行いました。一連の作業の中で決済当日まで細かい金額が決まらないので、という理由で白紙の出金伝票にも署名・捺印をさせられたと記憶していますスルガ銀行の両名からは、投資用不動産のリスクについて説明は一切ありませんでした。
開始から2時間後には、全ての契約書類に署名・捺印を完了し喫茶店を後にしていました。2棟のマンションの売買契約と、フリーローンを含めて5憶円以上のローン契約の手続きは、わずか2時間で終了しました。

多額の損失が発生した悲惨な物件運営

購入前に不動産業者T社からは、保証家賃により安定した賃料収入があるため、固定資産税など諸費用を差し引いても、月々のスルガ銀行へのローン返済も十分行えると説明を受けていました。ところが物件を購入して半年後の2017年3月、突然、サブリース業者より保証家賃を減額されました。さらに2018年7月には2回目の保証家賃の減額が言い渡され、月々の保証家賃が大幅に減額となり、ローン返済がやっとという状況に陥りました。そしてついに、2019年12月に家賃保証は終了となってしまいました。建物は多くの修繕工事が必要な状態であり、その中で月々のローン返済や固定資産税などの諸費用を支払うことには限界があります。自己破産を考えるほどに窮地に立たされました
「騙されたのかもしれない」と最初に気付いたのは、購入してわずか3ヶ月後のことでした。不動産業者T社のプランを信用して不動産を購入した訳ですが、念の為インターネットの所有物件の募集資料を調べみたところ、募集賃料よりも保証家賃が高く、不動産業者T社は保証家賃を支払う為に逆ザヤになっている状況でした。さらに想定される家賃から利回りを逆算すると、少なくとも1億円以上は高値で購入させられている可能性が高く、これが逆ザヤの原資になっているのでないかと危惧しました。不動産業者T社を紹介した友人A氏に現状を相談しましたが、現実問題として保証家賃が無くなると自己破産は避けらない状況であり、不動産業者T社を過度に刺激するわけにはいかず、打つ手がない中、ただ時間だけが過ぎていきました。
2017年10月頃、不動産業者T社には内密に富山県の現地管理会社と連絡を取ることができるようになり、2018年3月に初めて富山県のマンションを見に行くことが出来ました。そこで現実を目の当たりにした時の衝撃は今でも忘れられません。防水施工されているはずの屋上には草木が生えていて、最上階の廊下は雨漏りの痕がありました。室内には壁にこぶし大の穴が開いていて、カーペットにはアイロンの痕があり、ガラスが割れていたり、クローゼットはカビだらけだったりと、とにかく人が住めるような状態ではありませんでした。おまけに空室には、明らかに丈の合わないカーテンが設置されていました。カーテン偽装とか本当にあるのですね。」などと、管理会社の担当者は話していましたが、全然耳に入ってきません。不思議なもので、度を越えた惨状を目にすると、どこか他人事のようで、不動産詐欺のニュースでも見ているかのような錯覚を感じていました。
この当時、不動産業者T社の保証家賃に対して、実際の家賃収入は半分にも満たない状況であり、保証家賃をT社が支払うには毎月100万円以上の赤字となります。管理会社のアドバイスもあり、すぐさま自宅を担保にして、原状回復工事費用として、日本政策金融公庫から数回に分けて3000万円を借入れ、雨漏りがしている屋上の修繕と、未修繕の部屋計11部屋の原状回復工事を行いました。無料インターネット工事など、入居付の為のあらゆる手を尽くして、修繕した部屋は1年がかりで埋まり、ギリギリのところで収益は持ち直しました。その後も、落下の危険があった屋上鉄骨看板の撤去、給水ポンプの交換、貯水槽の交換、エレベーターの更新など、5000万円以上を物件運営のために出費していました。

不正融資の証拠の数々

スルガ銀行は何故このような収益性の低い物件に多額な融資をしたのか、当初よりずっと不思議に思っていました。そしてその真相が明らかになりした。スルガ銀行に融資審査の開示請求をして入手した資料から数々の不正が判明し、不正により物件価値が捏造されていたのです
具体的な不正として、まず銀行通帳の改ざん、レントロールの改ざん、賃貸借契約書の改ざん・偽造、手付金や中間金の偽造などが挙げられます。さらにフリーローンの契約、定期預金、積立定期の契約、生命保険の契約は、全て融資条件として加入させられたものですが、これらも不正行為です。
私は今も、返す当てのないスルガ銀行からの多額のローンにずっと取り憑かれています。先の見えない返済地獄に、本気で自殺まで考えてしまう日々を過ごしています。友人を信用した為に、なぜ、ここまで酷い目に合わなければならないのか、本当に理不尽でなりません。また、スルガ銀行の不正行為が明るみになり、第三者委員会の報告書では、スルガ銀行こそが不動産業者を使って巨額の不正な融資をできるように仕組んだのだということを知り、怒りとやるせなさで一杯です。
一日も早く、平穏な生活を取り戻せるように救済されることを切に願います。

<編集部コメント>

スルガ銀行の不正融資被害を受けたNさん。Nさんがスルガ銀行と金銭消費貸借契約をした際は既に退職後であり、そのことをスルガ銀行は不動産業者から事前に説明を受けていました。つまり無職であることを承知した上で、スルガ銀行は融資を実行しました。
スルガ銀行が不動産業者と結託して融資審査資料の改ざんを指示していたことは第三者委員会の調査報告書でも明らかにされています。Nさんのケースでも、数多くの書類の改ざんや偽造が判明しており、更には、不動産業者自らが行員を接待するとまで明言しており、不正行為に行員が関与したことは明らかです。
今後Nさんのような被害者が発生しないためにも、不正融資問題の早期解決とスルガ銀行の経営再建が望まれます。

Youtube番組「ガルスTV」にNさんが出演して窮状をお話しされています。是非ご覧下さい。
↓↓↓クリック↓↓↓